藤本けいすけの「日日是好日」

スウェーデンの中学教科書を読んで

新型コロナウィルス感染防止対策として、学校が休業になりやがて2ヵ月が過ぎようとしています。首都圏においても、緊急事態宣言解除の動きを踏まえつつ、学校再開に向けて周到な準備を進めるタイミングとなりました。早く子供たちが元気に通学する姿を見たいものですね。

さて、現在私は放送大学で「社会保障政策」について学んでいますが、その講義のなかで、「若者のシチズンシップ」(市民社会の正当なメンバーとなる権利・資格)養成について解説があり、一つの素材としてスウェーデンの中学教科書「あなた自身の社会」が紹介されていました。

早速取り寄せて読んでみましたが、正直その内容に大きな刺激と感銘を受けました。その特徴は、訳者の前書きにもある通り、

1.スウェーデン社会のありのままを誠実に解説している、

2.徹底的に子供視点で記述されている、

3.人間のありかたに様々な角度から光を当てている、

4.子供たちが自分自身の意見を持つことを強く勧めている、

5.社会は自分たちの手で変革できることを丁寧に教えている、

です。

テキストの章立てを見てみますと、

・「法律と権利」(犯罪、警察、裁判など)、

・「あたなと他の人々」(人間の特性、役割分担、男女の違い、アルコールと麻薬問題、社会団体活動)、

・「あなた自身の経済」(家族、売買、消費者、クレジット、広告)、

・「コミューン」(自治体の役割、予算、民主主義)、

・「私たちの社会保障」(児童福祉、結婚・離婚、家庭生活、病気、障がい、老人、セーフティネット)

という構成で、随所に子供たちへのケーススタディ的な問いが散りばめられています。

日本の教科書と比べて実社会を装飾なくリアルに記述してあり、大人が読んでもワクワクする内容です。

特に議員として活動する私には、社会保障が手厚い国とされるスウェーデンの約300の「コミューン」(基礎自治体)の運営方法にも大きな関心を持ちました。

この教科書では、国や県よりも、子供たちにとってより身近な「コミューン」について詳述されている点も特色です。

日本では、学校の9月入学問題が政治的なテーマになっていますが、その前段で皆さんにも是非お読み頂きたい1冊です。